アマンダとSRM
〜〜進化するアスリート 強化のガイドライン〜〜

今村選手のアワーレコードに寄せて:リンク
   
(by 千葉洋三)目次
* ロミンガーVSボードマン アワーレコードの対決記録
* 追補 空気圧、ゲージ、チェーンリング
* リッター、メルクス、モゼール
* メルクスの巨大心臓
 
* ロードとトラック両方を(柿木ドクター)

<<NEW>>
*往年のジロを胎動ルポした読み物「1949ジロ・デ・イタリア」
    http://www.michitani.com/shinkan/shinkan.html
 が未知谷(出版社)から発売されています。ブッツアーティ著、安家達也訳



ベルギー在住の山宮正さんからのメッセージ

女子トップ選手の登坂力

猛暑、お見舞い申し上げます。 
終了した女子のツール・ド・フランス『Tour de France Femmes』、総合優勝はオランダのAnnemiek van Vleuten39歳)、2位は同じくオランダのDemi Vollering25歳)でした。総合優勝、山岳賞、ポイント賞、新人賞、個人タイトルは全てオランダの選手が獲得しました。総合順位の勝負を決めた土曜日のステージにはPetit Ballonと呼ばれる9,54km(平均勾配7,9%) の登坂がありました。

STRAVAによる測定によると、この坂をAnnemiek van Vleuten3059秒(平均速度18.5q/h)で走りましたが、これはレースでの記録では男子プロ選手を含めて、歴代第7位なのです。2位で山岳賞のDemi Volleringは、3102秒で、歴代第8位。そして、この日の最後の登坂Le Grand Ballon13.68q 平均勾配6.6%)でAnnemiek van Vleutenは独走状態で4405秒で走破。(平均速度18.5q/h)。Demi Vollering4511秒(平均速度18q/h)。これは男子プロWout van Aert4528秒(平均速度17.9q)よりも速いのです。

つまり、日本の男子選手は、オランダの女子選手に付いて行けないのです。
以下のサイトもご覧下さい。
https://www.nieuwsblad.be/cnt/dmf20220731_95108546


女子自転車選手の話題をもう一つ

80年代から90年代半ば過ぎまで活躍した米国の元女子自転車選手Rebecca Twigg59歳)ですが、何と現在はシアトルでホームレスだそうです。(添付写真)1984年に選手仲間と結婚しましたが2年で離婚。その後、コンピューターサイエンスの準学士号を取得して情報技術関係の仕事を転々としていたそうです。再婚して娘が居るのですが、なぜかホームレスになったのです。

実は彼女は14歳で大学生になってしまった天才少女だったのですが、15歳の時に母親に家を追い出され、その時もホームレス生活の経験があるのだそうです。添付の記事は2022年2月8日付で、彼女は自分が麻薬やアル中でホームレスになったのではないことを世間の人達に知らせるためにインタビューに応じたのだそうです。

14歳で大学に入学(米国は年齢に関係無く、試験に合格すれば飛び級出来るので)した天才少女は、その頃から陸上競技でも類い稀な才能を発揮して注目されていたそうです。思うに「天才は紙一重」なので、性格が他の人との協調性に欠けるとか、家庭的で無い(15歳で家を追い出されているなど)など、おそらく特殊な人格なのだと思います。選手時代の仲間によると、かなり内向的な性格だったそうです。しかし、オリンピックのロードと3q個人追い抜きでメダルを獲得。3q個人追い抜きでは6回も世界チャンピョンになっている、しかも美人で人気者だった選手が路上で生活しているとは・・・
夜は路地裏でゴミ袋をマットレスの様にして、その上で寝ているそうです。

 Tadashi SANGU (山宮 正)


ドイツの西村さんから、https://amanda-germany.de/ 開設の御連絡。

UC Iの新規走行上の禁止ライディングフォームについて
  山宮正(さんぐう・ただし)選手よりの新情報を転送します。

 

千葉 様日本でも報道されていますが、4月1日からsupertuck と puppy paws と呼ばれる走行が禁止になりました。しかし、施行された新規則に関して、違反者にはどのような処分(罰則)が出されるのか?は、日本ではまだ誰も語っていないと思います。

昨日のベルギー大手オランダ語新聞のインターネットサイト『Nieuwsblad』によると、同紙のインタビューに応えたUCIスポークスマンLouis Chenaille氏は
「この禁止事項は、UCIのコミッセールによって厳格に取り締まられ、選手はレースから除外される。 警告は無く、違反と確認された時点で即刻レースから排除される」のだそうです。

さらに「TV中継などの映像を使って、レース終了後にも失格とする。アマチュア(沿道の観客など)が撮影された映像が提出された場合でも、
最終結果が確定する以前ならば、その映像も審議の対象として違反者は失格にする」との事です。
最終結果が確定した後に提出された(発覚した)映像は、審議の対象になりません。

2年前の世界選手権男子U23カテゴリーで、優勝したオランダの選手がレース後に失格となりました。 
これはオランダの新聞社が撮影した映像をコミッセールが提出を依頼し、その映像によって失格となったのでした。
その時には、コミッセールが撮影した映像以外を裁定に使うのは認められるのか?」という議論がありました。Louis Chenaille氏の話からは、誰が撮影した映像であっても、最終結果確定以前ならば、UCIは証拠映像として認める方針を明確化していると思います。
これまで多くの選手が頻繁にやっていた走行方法です。
単独でアタックして、うっかりやってしまうと、いきなりその場で降ろされる訳です。そういうポカミスが発生する可能性大かと思えます。


 私個人の私見としては、この禁止規則は大変良い事だと考えています。
プロフェッショナルは、若い選手やホビーレーサーの見本となる位に基本に忠実に走って欲しいと思うからです。子供達が未熟な技術で危険が伴う走りを真似しないためにも、です。
(山宮正)

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SRMシステムの活用、世界の頂点記録の解説

(解説:千葉洋三)競輪スプリント系、ロード系の2項目に分けて解説、導入上の要点や超人たちのデータを参考に、ソフト活用の方法をアドバイスします
SRMとは - SRM (srm-japan.com)


<アドバイス 1> 

競輪選手スプリント系、トラック競技選手へのSRM導入ガイド

 競輪選手がSRMを買い付ける 一番の狙いはコンディションの数値化にある。
今まで戦ってきた経験に プラス冷徹なその日その日のSRMデータから自分の体調を見定める。
レース対応としては三日なのか四日開催なのか、その会期のトラック周長は、スタート前のサプリメントは
なんだか準備 楽しそう。

導入初期の要点

今までどうりの食事、トレーニング内容も変えないでSRMデータを取り込んでみる。

そのデータを生かして 改善箇所の特定となる。
まず食事は専門の栄養士にチェックしてもらう。

競輪選手として選手生命を保つ為に 困ったときには主治医に駆け込む。

SRMデータのどこを見定めるのか
日々のトレーニングのなかで狙い定めた その日の最高速をチェック。

SRMサイエンストラックのPC7は0.5秒ごとに記録を刻んでくれる
フィニュッシュラインをめがけたその0.5秒の内容が問題となる。
スプリンターにとって最終の0.5秒 そこだけを見比べる
SRMを買い付け自分のレーシング道具にすることはその0.5秒を知ること なんという極論。

例えば古い話ですが ルツ ヘスリッヒ選手はハロン10秒でしたから
秒速20m。0、5秒で10mの変異域と考えられる。まだスポークウイール時代
でしたから 現行の競輪競争ルールと同じだったのでは。

ある本によるとスプリンターのパワー2300ワットとありました。
東ドイツチーム ナンバー4だったヒュプナーは全くヘスリッヒに歯がたたなかった。
金メダル量産のディーター へルマンコーチャーを囲むインタビュー記事の中で
ヘスリッヒの自転車競争は9歳から ヒュプナーは14歳からだったとあった。
0.5秒で10mを駆け抜ける なんだかわかりやすいターゲットにしてしまった。
SRMデータに いつもの記録が出ないとき 体調を疑い 休息。

導入アドバイス

競輪レーサーがSRMを買い付ける注意点
今が買い時と思います。
SRMサイエンストラック一式¥280,000−前後 、24年前のほぼ半値です。

サイエンスパワーメーターとパワーコントローラー PC7手持ちのノートパソコン(ウインドーズの一世代前が良い)を活用してください。 
競技場に持ち込み その場でチェックするのも良いでしょう。

  
<アドバイス 2>

ロード スピード系のSRMトレーニング システム活用について

自転車技術情報 No 75( 1999年)技術研究所よりの要請 SRMに関するリポートを提示。お客様である若い研究者の協力を得て15項目にまとめてみた。
岡根先生、広瀬先生にはSRMの活用全般、オーブリーのライディングフォーム計測、電動アシストバイク計測、米光先生にはSRMマニュアルの翻訳ならびに解説をお願いした。

SRMのデモンストレーションデータの中から4000mパシュート、クラッシクレーススプリント系に入れるべきか1000m TTの解説を取り込んだ。
(注)導入部についてはロードマンもスプリント系と同様。

実際の活用として

@ たとえば「アムステル ゴールドレース1997 4 26)でリースが優勝したときのSRMデータを展開してみよう。
データ解析の窓がいくつも開いているものの
SRM解析のエッセンスはパワー パルス ダイアググラムにつきる。
以下の初期画面。錯綜する解析図の中で特にマゼンタ色(速度)やグリーン色(パワー)が、リースのように大きく右上部(終盤)に書き出されるようになったらマッスドレースの成績も向上するのでは。

ビャルヌ/リース

{編集注)SRM解析ソフト用のリースデータY260497.srm へのリンク  SRMソフト使用者なら、このデータをダウンロードし、「file」から本データを指名してインポート。開いたら、「view」から、「oneline(一本線)」や「analysis(分析)」など、各種のデータ解析図をお楽しみください。グラフ線の上限が上端で切れている(隠れている)場合には、「option」で、該当要素の表示領域の上限数値を任意に増大してみてください


(編集注)「アムステル ゴールドレース」は1968年創設の名門クラシックレースで、現在もUCI世界ツアーに組み込まれている。ビャルヌ・リーズはデンマーク出身、96年にはツールでインデュラインを阻んで優勝した名手。97年にはこのゴールドレースを226.1KMを6時間23分5秒で駆け抜けた。緑色がパワー、マゼンタが速度、赤が心拍数、青がケイデンスを示している。速度グラフがなぜか終盤に落ちているが、これはパンクの影響ではないかと思量される。このように、SRMの装着によって、各自の精密な活動が読み取れる。この画面は単なる総合初期画面の例示で、実際には左下の各ボタンで時間帯ごとにさらに細かな出たが表示される。


A アナリシスと称する4分間以上の走行解析窓を開けてみると

グラフ縦軸左 パルスのヒストグラム
グラフ横軸に時間、距離とパワーのヒストグラム

グラフ外 下の行 左 データ取り込みの日時とメモ
グラフ内 左上の数値では、PWC値のみ重要 心拍150のときにその日いつでもできた


グラフ内 パワー値=右下の中で Workkj値 消費かロリー算出に重要 kj値を4倍 さらにPWC値を乗する
グラフ内 4段階の黒線の内容
 一段 リハビリレベル   心拍 110

 二段 脂肪の燃焼域       130
 三段 炭水化物の燃焼域     150
 四段以上 無酸素域のワーク   170

(編集注)このグラフからは、速度(マゼンタ)パワー(緑)心拍数(赤)やケイデンス(青)のレベルが、いかにの高いレベルにまとまっているかを観察できる。4つの区切のうち、4段目は、通常「ATレベル」などと言われる、いわゆる無酸素ギリギリの状態。リースのこのレースでは、驚くことに活動の4要素がその近辺にまとまっている。

B 精度(頻度)の分析 また、コース走破全域に於ける、パワー、スピード、ケイデンスが、それぞれどの値に対してどのぐらいの頻度だったかを解析することも出来る。
各軸を説明しておく。
表の左 パワーのみの頻度
表の下 パワーのレンジ
表の右 スピード、ケイデンス、パルスの頻度
表の上 スピード、ケイデンス、パルスのレンジ

スピードをみると36〜46Km/hが10% 60Km/hが1%
パワーをみると3500ワットが0.2%であることが読み取れる。



(編集注SRMのソフトでは、さらに時間ごとに分析したり、要素ごとの分析(以下のグラフ参照)をすることが出来る。競技者として、自分で分かっていることを、このように数値的に分析すると同時に、視覚的な分析をもインプットすることも、進展への大きな一助となる。



<アドバイス 3> 2021年1月

スピード系SRMのデータ解析続き レーマンの記録

 世界チャンプ、オリンピックwチャンプの伝説的な選手、レーマンの4000 mパシュート データを解析してみると
(於:フランクフルトオーデルでの1989年ドイツ選手権)
記録はSRM one line 図 10秒メモリーで記録。パルスを取り込むベルトをつけていないので アナリシス図は書き出せないが、彼のケイデンスは120〜135rpmと極端に高いことが分かる。

 その走りが大きな期待を寄せて期待して群馬グリーンドームへ観戦に出向い たことがあるが、その時は残念ながら3000mしか持たなかった。後年わかった ことは 病気を押しての出場だった。


SRM解析ソフト用のデータレーマンY140589.srm へのリンク  イエンス・レーマン

(編集注)実際のパシュート走行は、図の一番左の黒い縦線(スタート)と一番右(フィニッシュ)の間のグラフが表している。4分27秒前後か。
上のマゼンタ色のラインがスピードで時速55KM付近を維持。真ん中の青ラインがケイデンスで120+を維持。さらに驚異的なのは、パワーを示す緑ライン(この図では一番下)がスタート(経過時間では48〜49秒)約5秒後にmax1148wにまで跳ね上がっていることだ。この時回転数はまだ99rpmだが、スタート24秒後にはmax135rpm、時速59.8kmに達したことが読み取れる。
パシュート競技(追い抜き個人、チーム)の特性から、スタート直後にこのような爆発的な走りをすれば、明示的な力の差が相手を威圧し、戦意を喪失させる結果ともなる。

なお、SRMソフト内の数値データ同時表示の別チャート(下図=上段右から4つめのボタンを押す))でも、スタート直後の諸要素を黒背景部分に表示することでテーマが分かりやすくなる。黒色の背景部分では色が反転、パワーはマゼンタ、ケイデンスが黄色、速度は緑で示されているので、要注意。下段の数値は1秒ごとの測定値を掲載されている(スタート付近から約30秒間の分)。実際のソフトでは最下部のスライドボタンで任意のタイム箇所を確認できる。以上編集注。





*SRMソフトをお持ち出ない方で各画像を精査されたい場合、パソコンでいったん「画像をコピー」されてから拡大などでごらんください。


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(編集注)SRMデータ閲覧の簡単な方法をテスト版掲載してあります。


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SRMについてのリポートに際して応援の面々
 以下の諸先生に、m諸先生に、アマンダから深く感謝申し上げます。

米光先生 SRMマニュアルの翻訳と解説
 ブリティッシュコロンビア大学
。 自然(環境)流体力学。40Km/hならば3時間はいけた

広瀬先生 SRM第1号のオーナー(1996年)
 トライアスロンクレイジー 競技第一 研究第二だそうです。世界最初 バイシクル走行中の振動解析1990そのハード&ソフトの開発 実践。電気のスペシャリスト

岡根先生 山岳サイクリング研究会所属
 ホールディング カヤックで東伊豆海岸から大島へこぎ渡ったり 最西端の西表島界隈をあそんだり。学会発表のためドイツへ 会場近くのSRM社へ 意見交換に出向く。モノ作りのスペシャリスト

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以下は編集専用のソフト、データです、
リースデータY260497.srm へのリンク
SRM解析ソフトト2SRMWIN.exe へのリンク

データレーマンY140589.srm へのリンク


SRM_User_Guide_2013_JP.pdf 機器マニュアル